PT/OT/ST 転職市場比較|職種別の需給ギャップと2026年の転職難易度

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PT/OT/ST 転職市場比較|職種別の需給ギャップと2026年の転職難易度

「PT・OT・ST、同じリハ職でも転職のしやすさは違う」という話を、現場で働く方から聞くことがあります。

これは感覚ではなく、データでも裏付けられています。有効求人倍率・資格保有者数の増減・施設ニーズの変化——これらが職種によって異なり、転職市場の「温度差」を生んでいます。

私は放射線治療科の医師として、PT・OT・ST の3職種すべてとリハビリ処方を通じて連携しています。「どの職種が職場に求められているか」「施設が何を必要としているか」という採用側の景色を見てきた立場から、2026年の転職市場の実態を整理します。


この記事の信頼性について

監修: 石黒大河(医師・放射線治療科)
大学病院勤務。PT・OT・ST とのリハビリ処方・多職種連携を日常的に担当。本記事の市場データは厚生労働省資料・公開統計をもとに作成しています。

注意: 本記事の情報は2026年5月時点のものです。市場動向・求人数は変動します。登録前に各転職サービスの公式情報をご確認ください。


はじめに:3職種を「同じリハ職」でまとめない

PT(理学療法士)・OT(作業療法士)・ST(言語聴覚士)は、同じ「リハビリ職」に分類されながら、転職市場では全く異なる動きをしています。

3職種の基礎データを比較します。

項目PT(理学療法士)OT(作業療法士)ST(言語聴覚士)
資格保有者数(推計)約20万人約10万人約4万人
有効求人倍率(目安)約4.5倍約4.8倍約6〜8倍(推計)
資格者増加ペース急増中(供給過多の懸念)緩やかに増加増加中だが需要がさらに上回る
主な転職先病院・回復期・訪問・介護病院・回復期・介護・就労支援病院・介護・発達支援
転職難易度中(都市部は競争あり)中〜低低(慢性的な人手不足)

※求人倍率の数値は各種求人サービス・厚生労働省公表値をもとにした目安です。地域・施設タイプによって大きく異なります。

この表からわかるように、3職種の中でST(言語聴覚士)が最も「売り手市場」に近い状況です。一方、PT は資格保有者数が急増しており、「資格さえあれば希望通りの職場に転職できる」とは言い切れない状況になっています。


PT(理学療法士)の転職市場

資格保有者の急増が転職市場を変えた

理学療法士は、1990年代以降の養成校増加により資格保有者数が急速に伸びました。現在の保有者数は推計20万人超とされており、リハビリ職の中では最も多い職種です。

厚生労働省の需給推計(2019年発表)では、「2026年頃に需給が均衡し、その後は供給が需要を上回る可能性がある」という見通しが示されていました。実際の市場は施設タイプ・地域によって異なりますが、都市部の急性期病院・回復期病院では、求人に対する応募者の増加を感じる採用担当者が増えています。

PT 転職市場の「二極化」

PT の転職市場は「二極化」が進んでいます。

人気が集まる職場(競争が増している)

  • 都市部の回復期リハビリ病棟
  • スポーツクリニック・整形外科クリニック
  • 大学病院・高度急性期

人材が不足している職場

  • 訪問リハビリステーション(特に地方)
  • 特別養護老人ホーム・老人保健施設
  • 障害者リハビリ施設

つまり「PT は求人が多い」は事実ですが、「どの職場でも選び放題」ではありません。希望条件と実態のギャップを理解した上で、転職戦略を組む必要があります。

PT の転職難易度:施設タイプ別

施設タイプ転職難易度特徴
回復期リハ病棟(都市部)中〜高応募者多い。経験・専門性で差別化必要
回復期リハ病棟(地方)低〜中人材不足で採用意欲高い
訪問リハビリ慢性的な人手不足。即採用も多い
介護老健・特養人手不足が顕著。条件交渉もしやすい
スポーツ系クリニック求人少ない。専門資格・スポーツ経験が有利

PT 転職のポイント

中堅以降の PT が転職で失敗しやすいパターンは、「今より良い職場」という漠然とした動機で動くことです。

医師の立場から見て、転職後に「前の方が良かった」となるケースの多くは「変えたい具体的な課題」が曖昧だったケースです。転職前に「今の職場の何が問題で、新しい職場ではそれがどう改善されるか」を言語化することが、後悔しない転職の第一歩です。


OT(作業療法士)の転職市場

PT と比べて「穴場」が多い職種

OT の資格保有者数は PT の約半分。しかし OT のニーズが高い分野(精神科、発達障害支援、就労支援、生活期リハビリ)は急速に拡大しており、「施設のニーズに対して人材が少ない」職域が PT より多い状況です。

OT 特有の求人が多い職場:

  • 精神科病院・デイケア
  • 発達障害支援センター・放課後等デイサービス
  • 就労移行支援施設
  • 訪問リハビリ(在宅での ADL 支援)

これらの施設では、PT の担当領域との重複が少なく、OT が主力として求められています。

OT の「介護・在宅」シフトが進んでいる

超高齢社会の進展とともに、OT に対する在宅・介護施設からのニーズが増しています。特に「生活行為向上マネジメント(MTDLP)」の普及により、OT の役割が「機能訓練」から「生活の質を支える包括的支援」に広がってきました。

OT が介護施設や訪問事業所に転職した場合、病院勤務と比べて1ケースあたりの関わる時間が長くなり、「患者の生活に深く入り込める」という満足感を得るケースが多いという声を聞きます。

OT 転職難易度:施設タイプ別

施設タイプ転職難易度特徴
回復期リハ病棟安定した求人。経験重視
精神科病院低〜中OT 特有の需要。競合が少ない
発達障害・療育施設拡大中の分野。即戦力求められる
訪問リハビリ人手不足。OT への需要も増加中
介護老健・特養生活支援の需要旺盛

OT 転職のポイント

OT が転職で最大限の強みを発揮できるのは、自分の得意領域(身体障害・精神障害・発達・老年期)と施設ニーズが合致した時です。転職エージェントに「自分が最も得意とする評価・介入の軸」を明確に伝えることが、ミスマッチを防ぐ最大の対策です。


ST(言語聴覚士)の転職市場

3職種で最も「売り手市場」に近い職種

言語聴覚士は、PT・OT と比べて養成校・資格保有者数が少ない一方、ニーズが急拡大しています。推計保有者数は約4万人で、PT の約5分の1です。

需要が増している背景:

  • 超高齢社会による摂食嚥下障害を持つ高齢者の増加
  • 脳卒中後の失語・高次脳機能障害への対応ニーズ増
  • 令和3年度介護報酬改定での口腔・栄養管理評価の強化
  • 発達障害・吃音・言語発達遅滞への支援需要の増加

介護報酬改定が ST に有利に働いている

令和3年度の介護報酬改定では、「口腔機能向上加算」「栄養改善加算」「口腔・栄養スクリーニング加算」が見直され、ST が関与する口腔・嚥下機能評価の重要性が明示されました。

これにより、老人保健施設・特養・在宅介護サービス事業所での ST ニーズが一段と高まっています。しかし ST の絶対数が不足しているため、「求人はあるが採用できない」という施設が全国に多数あります。

2026年度の介護報酬臨時改定(2026年6月施行予定)でも処遇改善が進んでおり、介護分野の ST の待遇はさらに改善される見通しです。

ST 転職難易度:施設タイプ別

施設タイプ転職難易度特徴
急性期病院嚥下・言語リハの需要。経験者優遇
回復期リハ病棟低〜中人材不足。ST 経験1〜3年で応募可能
介護老健・特養非常に低嚥下評価できる ST を慢性的に必要としている
訪問リハビリ在宅嚥下支援への需要急増
発達支援(こども)低〜中言語発達支援の需要は高いが求人規模は施設による

ST は現時点で「転職したい」と思ったら、3職種の中で最もスムーズに選択肢が広がりやすい状況です。ただし、「どんな施設でも働ける」と安易に考えるとミスマッチが生じます。自分の得意なアプローチ(嚥下系か言語系か小児系か)を軸に選ぶことが重要です。


3職種横断:転職で失敗しやすい共通パターン

医師として、リハ職の方のキャリア相談を聞く機会から感じる「転職失敗パターン」を整理します。

パターン1:「求人数が多い」を「自分が優位」と誤読する

有効求人倍率が高いことは「転職しやすい」という意味ですが、「条件が良い職場を選び放題」という意味ではありません。人材が集まりにくい職場には、それなりの理由がある場合も多いです。

特に離職率が高い施設や、「急募」が慢性化している求人は、理由を丁寧に確認する必要があります。転職エージェントの担当者に「なぜ今募集しているのか」「直近の離職者数は何人か」を聞くことを習慣にしてください。

パターン2:年収だけで転職先を選ぶ

年収アップは転職の正当な動機です。ただし「同じ経験年数・スキルで年収が大幅に高い」職場は、それだけの負荷が存在することが多い。

残業実態、ケースロード、緊急対応の頻度——これらを確認せずに年収だけで選ぶと、「上がった年収分だけ消耗する」結果になります。

パターン3:転職エージェント1社だけに依存する

各エージェントが持っている非公開求人は会社ごとに異なります。1社だけに登録すると、本来出会えたはずの求人を見落とします。PT・OT・ST 専門のサービスと、コメディカル総合サービスを組み合わせて登録することをすすめます。


内部リンク:職種別詳細と転職サービス比較

各職種の詳細な転職情報・サービス比較は以下の記事をご覧ください。

PT(理学療法士)向け

OT(作業療法士)向け

ST(言語聴覚士)向け


まとめ

  • PT は資格保有者が急増しており、「都市部の人気職場」への転職は競争が増している。訪問・介護分野では依然として人手不足
  • OT は PT と比べて「穴場」が多く、精神科・発達・在宅ニーズで差別化できる
  • ST は3職種で最も売り手市場に近く、介護報酬改定追い風もあって需要が旺盛
  • 3職種共通で、転職成功のカギは「何を変えたいか」の明確化と「職場の実態調査」

転職市場の温度は職種・地域・施設タイプで大きく異なります。まずは自分の職種と希望条件に強いサービスに相談することが、転職活動の第一歩です。


監修医師プロフィール

石黒大河(医師・放射線治療科)。大学病院勤務。PT・OT・ST との多職種連携を日常的に担当。リハキャリアガイドの運営・監修を担当。

本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。各転職サービスの求人数・対応エリアは変動する場合があります。